【獣医解説】夏は猫も脱水に注意!飲水量を増やして膀胱炎・尿トラブルを防ぐ工夫

8月の暑い季節、「うちの猫、最近あまり水を飲んでいない気がする…」「トイレに行く回数が減った?」と心配になったことはありませんか?
猫はもともと砂漠地帯で暮らしていた野性時代の名残から、喉の渇きを感じにくく、自分から進んであまり水分を摂らない習性があります。しかし、夏場のエアコンによる室内乾燥や体温調整によって体内の水分が減ると、知らず知らずのうちに「隠れ脱水」に陥ったり、尿が濃くなって「特発性膀胱炎」や「尿路結石症」といった命に関わる泌尿器トラブルを引き起こしやすくなります。
愛猫の健康と長生きを守るためには、夏場の飲水管理が非常に重要です。「横浜上永谷あお動物病院」が、夏に猫の尿トラブルが増える理由、見落としがちな脱水サイン、ご家庭ですぐ実践できる飲水量を増やす具体的な工夫を分かりやすく解説します。
■ なぜ夏に猫の脱水・尿トラブル(膀胱炎・結石)が増えるのか?

「冬に増える」イメージが強い猫の尿トラブルですが、実は夏場にも発症件数が一気に跳ね上がります。主な理由は以下の3つです。
1. エアコンによる乾燥と「隠れ脱水」
夏場は熱中症対策のために冷房(エアコン)をつけっぱなしにすることが多くなります。冷房の効いた室内は湿度が下がりやすく、呼吸や皮膚から知らず知らずのうちに水分が失われて「乾燥」が進行します。
2. 尿の濃縮による「結石・結晶の形成」
飲水量が少ない状態が続くと、腎臓で尿が極度に濃縮されます。濃くなった尿の中では、ストルバイトやシュウ酸カルシウムといった結晶が析出しやすくなり、それが膀胱や尿道を傷つけたり、詰まらせる原因になります。
3. 夏のストレスによる「特発性膀胱炎」

猫は環境の変化に非常にデリケートな動物です。夏場の落雷や夕立の音、エアコンの風、室温の寒暖差などがストレスとなり、原因が特定できない「特発性膀胱炎(FIC)」を発症してしまう子が少なくありません。
■ 見落とさないで!猫の脱水・尿トラブルの危険サイン

日常の中で愛猫に以下のような変化がないか、チェックしてみましょう。
[家庭でできる脱水チェック(テントテスト)]
【画像挿入④:脱水チェック(テントテスト)】

猫の首の後ろ(背中側)の皮膚をつまんで持ち上げ、パッと放してみてください。健康な状態であればすぐに元の平らな状態に戻りますが、元に戻るまで2秒以上かかる場合は脱水が進んでいるサインです。
[尿トラブルのSOSサイン]
- 何度もトイレに行くのに、尿が少ししか出ない・全く出ない
- 排尿するときに「ニャー」と痛そうに鳴き声をあげる
- 尿に血が混じっている(ピンク色〜赤色、茶褐色)
- トイレ以外の場所(布団やカーペット等)で排尿してしまう
- 陰部を気にして頻繁に舐めている
【命に関わる緊急事態!尿閉塞リスク】 特にオスの猫ちゃんで「おしっこが完全に出ていない(尿閉塞)」状態に陥ると、体内に毒素が回り、24〜48時間で尿毒症を引き起こして命に関わります。 「何度もトイレに入るのに出ていない」場合は、夜間であっても迷わず緊急受診してください。
■ 今日からできる!猫の飲水量を増やす5つの工夫

「水を飲んでくれない」とお悩みのご飼い主様へ、ご家庭で無理なく水分摂取量を増やすためのテクニックをご紹介します。
1. 水飲み場を増やす(頭数+1箇所以上)
猫が移動する動線に合わせて、寝床の近く、よく過ごす部屋、キャットタワーの横など、家中(飼育頭数+1箇所以上)に水飲み場を設置しましょう。
2. 水容器の「素材」や「形」を変えてみる
猫はひげが容器のフチに触れるのを嫌がる傾向があります。浅くて幅の広い陶器やガラス製の器に喜んで飲む子もいます。また、流れる水が好きな子には「自動循環式給水器」が非常に効果的です。
3. 「ぬるま湯」や「風味づけ」を試す
キンキンに冷えた水よりも、体温に近い37〜40℃程度のぬるま湯を好む猫ちゃんは多く存在します。また、塩分無添加の鶏ささみの茹で汁を少量水に混ぜて風味をつけるのもおすすめです。
4. ウエットフード(缶詰・パウチ)を活用する

ドライフードの水分量が約10%以下であるのに対し、ウエットフードは約80%が水分です。いつものごはんにウエットフードを混ぜたり、ぬるま湯でスープ状にして与えるだけで、自然と一日の必要水分量を補うことができます。
■ まとめ:夏の体調管理・尿トラブルは早めにご相談を

猫の飲水量不足や泌尿器トラブルは、放置すると急速に重症化して命に関わることがあります。「最近おしっこの回数がおかしい」「なんとなく水を飲んでいない」と感じたら、我慢させずに早めにご相談ください。
当院では、夏の脱水ケアや、超音波・尿検査による泌尿器トラブルの早期発見・治療を行なっております。お気軽にご来院ください。
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